で。
言葉を尽くすよりも手を動かした方がきっと何よりの供養になるさ!ってことで以前神戸のトレフェスで購入したクルシマのスク水綾波を携えて16日に行って参りました。
地下鉄難波駅をなんばウォーク側の出口から出て電気街とは反対方向、なんばパークス方面へ。
難波中交差点を渡り阪神高速をくぐったすぐのところを左折。
飲食店などが並ぶ道路を道なりにまっすぐ行くと郵便局の向かい側に…
ありました。
入り口も看板も控えめなのでちょっとわかりにくいかもですが、とにかく郵便局の向かい側と覚えておけば問題ないでしょう。
店舗は地下。階段を下りていき入店します。
店内はこんな感じ。お邪魔しまーす。
…さてこの「がれ喫茶」とはなんぞや。
単刀直入に説明すると「店内にガレージキット製作向けの作業スペースが設けられた喫茶店」なのであります。
この8月にオープンしたばかりのお店で、WFなどでチラシ配布を行っていたりはしながらもまだまだ知る人ぞ知る存在。
空条さんも夏コミ直前ぐらいにその存在を知り、これは一度行ってみねばとかねがね思ってたんですよ。なにせほら、うちの塗装スペースって玄関先っていうかもう部屋の外なんで…。
店主である猫じゃらしさんに素性を明かすとこちらの活動についてもご存じだったようでなんだか照れくさいですが同時に話も早いので取材がてら作業スペースをお借りしに来ましたと告げ、雑談などしつつしばし店内を撮影させていただきました。
ショーケースにはお客さんや店主の猫じゃらしさん・八音(はちおと)さんが完成させたフィギュアなどがずらり。
こちらが作業スペース。なんか必要な情報が全然撮れてねえ!!
机は全部で4つあり、全ての机に換気用ダクトが設置してあります。
コンプレッサーはお借りできるのでハンドピースさえ自前で用意しておけばがんがんエアブラシ塗装ができます。
お店が忙しくない時には猫じゃらしさんも八音さんも一緒になって模型作りしてたりもするので、カッターやピンセット、調色スティックといった小物もお願いすればお二人の私物から貸していただくこともできます。
さすがに塗料やマスキングテープ、溶剤など消耗品はそうもいかないので、必要なものや使い慣れた道具などはできる限り自分で用意していった方が無難でしょう。
いざとなれば歩いて10分もしない場所にコトブキヤとかボークスとかいくらでも売ってるお店があるのでそちらで調達するもよし。
ってわけで塗装スタート。サフだけは自宅で吹いておいたのであとはひたすら塗って塗って塗りまくるのみ。
前述のとおり今回持ち込んだのはクルシマのスク水綾波(片山博喜さん原型)。もうゲップが出るほどあちこちで作例もあがっていて今さら目新しくもなんともないキットですが、スク水で頭がどうにかなっている人なら一度はチャレンジしておかねばならないキットでもありますからして。
手足と顔の肌を塗り終わり(撮れよ…)、このキットの最大の見せ場である透け塗装にとりかかりますよ。
まずは肌のシャドウ色にクールホワイトを足したものをシワの谷間にうすーく細吹き。これを何度か繰り返し、今度はシワの稜線をフィニッシャーズのファンデーションホワイトで白く戻します。
適当なところで肌の部分をマスキングし、透けたスク水をクレオスのブルーFS15044で細吹き。
これでも細吹きしてるつもりなんだけど全然うまくいかない…。
当初はfgで見つけたさくらさんの作例に倣って稜線をマスキングゾルでマスクしようかと思ってたんですが、ゾルのハンドリングが想像していたよりまるでうまくいかず早々に断念。ひたすら細吹きで頑張ることにしたのでした。
しかしその細吹きも思ったようにいかず、スク水を塗ってはホワイトで明るく起こし、起こしすぎてはスク水を塗る…を繰り返すことかれこれ3時間強。気づいたらもう時刻は夜9時を過ぎ、敢えなくタイムアップ。こうなったら明日も来るしかあるまい!!
実はこのお店では作業中のキットをそのままの状態で預かっていただくことができます。
しかも工具も預かってもらえるので何日も通う場合でも楽ちん!
いやしかし今回はいくらなんでも透け塗装についてノープランすぎた、と反省しきりの帰路。
かといってうまい打開策があるわけでもなく、とにかく集中力を高めて挑むしかないと気持ちを新たにした翌日17日の往路。
この日はお店のblogでもちょくちょく現れる黒猫さんが表の室外機の上でくつろいでました。
いざ塗装スタート、というところでふと思い出す。
「ハンドピース先端のクラウンをはずすと細吹きしやすい」と以前どこかで読んだ記憶があるぞ…?
ってことでまずは試してみようとクラウンを外してやってみました。
おお!たしかにちょっと狙いやすくなった!
そのかわりニードルに生乾きの塗料が溜まりやすく、これが原因でドリップが飛ぶ危険があるため作業中はこまめにシンナーをつけたティッシュで先端を拭ってやる必要があるっぽいですな。
で、結局この日も透け塗りだけに4時間近くを費やしなんとかこれぐらいまでこぎ着けました。
ってかこれ以上は無理!
さあこの時点で時刻はもう夜7時。急いで髪の毛と露出部分のスク水を塗らねば!
…急ぎすぎて塗ってる最中の髪の毛撮り忘れた…。
スク水の塗装手順は以前のスク水いいんちょの時とおおよそ同じ。
まずは光の当たる方向からクレオスのイエローを薄ーく。
次にガイアノーツのウルトラマリンブルーを10、クリアイエローを1、クレオスのスーパークリア?Vを5の割合で薄く全体に発色させます。
お尻側は影になる部分をやや濃い目に。
そしてウルトラマリン12:ブルーFS15044 7:ブラック0.7ぐらいでシャドウ方向からグラデをかけるつもりで全体にエアブラシ。
で、こんな感じに。
いいんちょの時よりずいぶんうまくいった気がしますよ。
日光だけが頼りの玄関先ではここまで狙い通りのグラデーションを出すのはやっぱり難しかったんだなあと。
お尻にもこんな感じのグラデがつきました。
髪の毛については後ろ髪と顔が一体成形という古き佳き男気溢れるパーツ構成のため、前髪の裏側に両面テープを貼って仮止めした状態で吹きました。
レシピは上で紹介したさくらさんの作例に倣いガイアの純色シアンに純色バイオレットを若干量、これをクリアーで薄めてグラデ塗装。
ちょっと全体に濃くなりすぎたのでこのあとクールホワイトで全体のトーンを少し落としてます。
基本塗装工程がほぼ終わった段階で時刻はちょうど閉店の午後10時目前。
しばらく乾燥待ちさせてもらってから退店。
以上、2日間合計約12時間にわたってお世話になってきました。
取材とか言いながら作業中はつい黙々とやってしまいがちであまりお話もできませんでしたが実に充実した楽しい時間を過ごさせていただきました。
我が家のように塗装スペース確保が難しい住環境の人間にとってはほんとに願ってもない空間です。同じ悩みをお持ちの方は是非とも足を運んでみてください。
っていうか塗装ブースがむちゃくちゃ欲しくなりましたよ。あれさえあれば季節を問わず蚊にも悩まされず塗装できるのに!
作業スペース利用料は1時間あたり400円となってます。朝から晩まで入り浸っても4000円ほど。同じ時間とお金をマンガ喫茶でぼんやり費やすのに比べたらはるかに有意義なんじゃないかしら。
記念のしるしに拙著『翔子』シリーズと、18日に発売の青本の単行本『ガレキに華を』を寄贈してきました。みなさんもご来店の際には塗装の休憩にでも読んでみてくださいまし。
しかもなんとすでに八音さんの私物として『How to SATCHIN』が!読んだお客さんの評判もいいみたいでなんだかとても嬉しいです。
そんなこんなで当サイトは『がれ喫茶 猫鯖』を応援します。
できれば年内にもう一度なにか作りに行きたいなあ。